【実体験】障害者雇用の入社~退社まで

障害者雇用に興味があるけれど、情報が少なくて二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事は、障害者雇用で約1年半働いた私の実体験をもとに書いていますので、少しでも参考になれば幸いです。もともと一般就労でしたが、不安障害で精神障害者保健福祉手帳を取得し、30代ではじめて障害者雇用での転職をしました。また、在職中に発達障害(ADHD)の診断も受けています。障害者雇用について良い面も悪い面も含めて赤裸々にお伝えするので、ぜひ最後までお読みください。

障害者雇用とは

①一般雇用と比べて

障害者が就職活動をする場合、障害者雇用と一般雇用のどちらに応募するか迷うと思いますが、個人的には障害者雇用をおすすめします。障害者雇用は障害者が応募してくることを前提としているので個別対応をしてもらえる可能性が高く、安心して就職活動を進められるためです。入社してからも配慮を受けられるので、「一般雇用で限界だ…!」という障害者手帳をお持ちの方は、ぜひ障害者雇用をご検討ください。

②障害者雇用のメリット・デメリット

障害者雇用で就労する場合、以下のようなメリットデメリットがあります。

メリット

  • 安心して応募できる
  • 合理的配慮が受けられる
  • 仕事のミスマッチが少ない

デメリット

  • 職種が限られる(営業などは少ない)
  • 給料が少ない傾向
  • 周囲の目が気になることがある

③企業側の視点

障害者雇用は企業側にとってもメリットがあります。企業には障害者を雇うことが義務付けられています。障害者雇用に関わる法律に障害者雇用促進法があり、法定雇用率の達成、つまり“全従業員に対して一定割合以上の障害者を雇うこと”が必須です。法定雇用率は2025年5月現在2.5%で、今後さらに引き上げられていく予定。ですので企業にとっても障害者雇用は喫緊の課題であり、今後より積極的になる可能性が高いといえます!

就職活動の準備

①精神障害者保健福祉手帳を取得する

障害者雇用に応募するのにまず準備すべきは、精神障害者保健福祉手帳です。企業への応募の際に手帳のコピーを提出する必要があるためです。手帳の申請には、主治医の診断書が必要です。また申請してから手帳が届くまで、自治体にもよりますが2ヵ月~2ヵ月半かかります。元々所持している方は問題ありませんが、障害者雇用のためにはじめて取得される方は、はやめに動きましょう!

②自己理解を深めておく

a.障害や病気について説明できるようにする

自分の症状を正確かつ簡潔に伝えられるよう準備しておくのがベターです。同じ障害者でも症状はひとりひとり違うので、言葉で説明できるようにしておく必要があるからです。私も主治医に相談してなんとか言語化しました。

b.何ができる/できないを明確にする

自己分析し、できること / できないこと、また得意なこと / 不得意なことを明らかにしておくと選考もスムーズです。障害者雇用においては不得意なことが配慮によって避けられるケースもあります。

c.配慮してほしい事項を整理する

上記と関連して、企業からどのような配慮があると業務が進めやすいのか整理しておきましょう。適切な配慮は長期就労に繋がり、ご自身にとっても企業にとってもメリットがあります。

転職活動

①エージェント

障害者雇用の転職活動においては、エージェントの活用をおすすめします。理由としては、履歴書の添削などを無料で行ってくれて、個人で活動するよりも効率が良いからです!掲載する中でとくに精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方にすすめたいのがatGP障害者雇用バンクです。

エージェント名求人数※特徴
atGP1,344件アドバイザーの親身なサポート。
障害者雇用バンク数万件ハローワーク求人も掲載。親切。
リタリコ仕事ナビ3,903件対応がスピーディー。
dodaチャレンジ1,428件ハイキャリア向け。

 ※求人数は2025年5月19日時点の件数。

a.atGP(アットジーピー)

https://www.atgp.jp/

総合的に見てバランスのよいエージェントで、アドバイザーの面倒見が良いのが特徴です。実際に私もatGP経由で7件応募し、そのうちの複数社から内定をいただきました。

b.障害者雇用バンク

https://syogai-koyo-bank.com/

サポート内容としては、

  • 個人の特性を活かせる仕事の紹介
  • 他エージェントの状況も聞きながらの柔軟な対応
  • 電話やメールで適宜ヒアリング

など受けられました。

c.リタリコ仕事ナビ

https://snabi.jp/

就労支援、幼児教室、学習塾など様々な教育サービスを提供する株式会社LITALICOが運営するサイトです。登録後すぐに電話でフォローしてくれたりと、スピーディーな印象を受けました。

d.dodaチャレンジ

https://doda.jp/challenge/?msockid=2a620d7e981a6e1324af03fe99f06f8c

ハイキャリア志向の求人数が多く、大手企業、グローバル企業などの掲載もあります。ただし身体障害者を求める傾向が強く、精神障害者に求人を紹介してもらえない場合もあります。私自身、ほとんど仕事を紹介してもらえませんでした…。

②面接で絶対聞かれること

  • 通院頻度
  • 通院しはじめたきっかけは?
  • どのような障害があるか
  • どのような配慮が必要か

過去の退職理由
過去の退職理由については、本当に聞かれます。5社経験があれば5社聞かれると思っておいた方が良いです。また、休職したことがあるかを問われる場合もあります。

③企業のチェックリスト

 a. 雇用実績

ターゲット企業について、精神障害者の雇用実績を調べておくことがポイントです。雇用実績があれば、雇ってもらえる可能性が見込めます。雇用実績の確認方法としては、エージェントに聞いたり、従業員・元従業員の書く口コミサイトで確認したりして情報を得ます。

b. 在宅勤務の可否

多くの障害者にとって、フル出社での勤務は負担になります。出社することで、業務そのものだけでなく電車通勤も負荷がかかるためです。事務職の場合は、在宅勤務ができるかと、在宅勤務の頻度を確認しておきましょう。

c.(契約社員の場合)正社員登用があるか

障害者雇用は契約社員スタートの方が正社員スタートよりも多いです。正社員になれるチャンスがあるのか?いつなれるのか?事前に調べておくことをおすすめします。

d. 昇給の有無

障害者雇用では一般の雇用よりも薄給の傾向にあるので、給料は非常に重要なチェックポイントとなります。初任給だけでなく、昇給の有無についても確認しておきましょう。

入社後

①就業規則の確認

入社後ははやめに就業規則を確認しましょう。企業への理解を深め、希望条件に合っているか確認するためです。特に以下を見ておくと安心です。

  • 入社前に聞いていた内容と齟齬がないか
  • 万が一休職した場合の対応

②障害者雇用の良いところ

a.苦手なシチュエーションを避けられる(合理的配慮)

例えば不安障害で大勢の前での対面のプレゼンが苦手であれば、「オンラインに変更してもらう」等の配慮が受けられます。嫌な状況を避けられるだけでも、働きやすさは各段にアップするはず!

b.定期的な面談

上司と定期的に面談をし、業務や人間関係の相談ができます。私が入社した会社では、上司との定期面談(1on1)を月1で実施し、業務の進捗確認や困りごとの相談ができました。

③障害者雇用の困りどころ

a.どこまで障害を周知するか

同じ課なのか、同じ部なのか、完全にオープンにするのか…?誰に障害をオープンにするかは重要です。最初の段階で決める必要があるので、直属の上司とは内定の段階からよくコミュニケーションを取りましょう。

b.体調を崩しがち

いくら気を付けていても、健常者より精神的・体力的に疲れやすい傾向にあるのではないでしょうか。いざ調子が悪くなっても相談できるように、周囲との関係性を築いておくことが大切です。また昇格など節目のタイミングで疲れが出やすいので要注意です。

④岡の1年半

法律事務所の人事職で1年半働きました。具体的には、面接の日程調整/新卒のスカウトメール/入社書類の準備/研修関係などです。契約社員で入社して1年ほどは順調だったのですが、1年で正社員になったあたりから負荷が増え、体調を崩してしまいました。体調の波が出てくるようになり、3ヵ月ほど休職して、そのまま退職してしまいました。今思えば、とくにスカウトメール(スカウトの文章を書く業務)などはやりがいがありましたし、配慮も受けられていたので、もうちょっと休職して様子を見てもよかったかもしれません。ADHDの特性もあってか、ちょっと勢いで退職を決意してしまった部分がありましたね…

退職

①辛くなったらまず相談を

体力的・精神的に大変になった場合、まずは直属の上司に相談しましょう。ハラスメントの場合は専門の窓口が設けられている会社もあるはずです。場合によっては産業医面談を受けられるかもしれません。いきなり退職を選択しなくとも、「就労制限の設定」「休職」など選択肢はあるので、くれぐれも決断を焦らず…!(自戒の意を込めて)

②退職する場合

それでもやはり退職を選ぶという場合は、以下を参考にしてください。

a.次が決まっていない場合

障害者雇用の仕事を退職してハローワークに行く場合、一般就労の場合より長く失業給付金をもらえます。それにより次の仕事を探すのに時間的余裕も生まれますので、まずは心身をゆっくり休めましょう。

b.すぐ転職する場合

保険年金の手続きに漏れがないように注意しましょう。手続きは社内の経理や会計、人事が担当しているケースが多いので、わからないことがあれば遠慮なく聞いてみるのをおすすめします。

③職場の人と繋がり続けるべき…?

結論、「ゆるく繋がっておく」ことをおすすめします。私の場合、LINEやメールは聞かれたら教えています。なぜなら、同じ業界で転職したりという場合、いつどこで再会するかわからないので、良好な関係を保っておきたいからです。また、カムバック制度(出戻り制度)も増えているので、私は未経験ですが無関係とも言い切れません。ただし、連絡先を交換して宗教などの勧誘に遭った経験もあるので、要注意です!

まとめ

障害者雇用ならではの課題もある一方で、合理的配慮など障害者雇用で働くメリットも確実にあります!障害者向けの求人の数も確実に増えてきています(前述の各エージェントについて2024年5月に調べた時より、今回の方が求人数が増えていました)!障害や二次障害で卑屈になってしまうこともあるのですが、得意なことに目を向けて、やりたい仕事に就けるチャンスを掴みたいところです。

読んでいただいて、どうもありがとうございました。

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